HTLV-1によっておこる病気 -HAM-
HTLV-1によっておこる病気 -HAM-
- HAMとはどのような病気ですか
- HTLV-1キャリアがHAMを発症するのはどの程度ですか
- HAMを発症するとどのような症状が認められますか
- HAMはどのように診断されますか
- HAMの運動障害とはどのようなものですか
- HAMの感覚障害とはどのようなものですか
- HAMの膀胱機能障害とはどのようなものですか
- HAMの排便障害とはどのようなものですか
- HAMの病気の成り立ちはどのようなものですか
- HAMを発症するとどのような経過をたどりますか
- HAMの病気の進み方の早さを決めるのはなんですか
- HAMの病気の進み方の早さを調べるにはどうしたらよいですか
- HAMに合併する疾患にはどのようなものがありますか
- HAMの治療法にはどのようなものがありますか
- HAMの治療のながれはどのようになりますか
- HAMに対する主な治療法はどのようなものがありますか
- HAMの足のつっぱりに対する治療法はどのようなものがありますか
- HAMの膀胱機能障害に対する治療法はどのようなものがありますか
- HAMに有効な運動療法はどのようなものがありますか
- インターフェロンとはなんですか
- ステロイドとはなんですか
- 装着型サイボーグHAL®とはなんですか
- HAMの治療にはどのぐらいの費用がかかりますか
- HAMとうまくつきあうために、どのようなことに気をつけるとよいですか
- HAMを発症した場合、家族のHTLV-1感染を調べたほうがよいでしょうか
- HAMとはどのような病気ですか
- HAMとは、HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1-Associated Myelopathy)の略で国の難病に指定されています。HTLV-1キャリアの約0.3%がHAMを発症することが報告されていて、HAMの患者さんは全国で約3,000人いると推定されています。男女比は1:2~3と女性に多い傾向があります。HAMは40~50歳代で発症する人が多いですが、10歳代など若いころに発症する人や60歳以上になって発症する人もいます。
HAMの初期には以下のよう症状が現れます。- 足がもつれる
- 走ると転びやすい
- 両足につっぱり感がある
- 両足にしびれ感がある
- 尿意があってもなかなか尿がでにくい
- 残尿感がある
- 頻尿になる(夜間に多い)
- 便秘になる
また、受診する場合には- 自分がHTLV-1キャリアであること
- いつから上記の症状があるか
- 上記の症状の程度はどのくらいか
- HTLV-1キャリアがHAMを発症するのはどの程度ですか
- HAMの年間発症率は、HTLV-1キャリアでおよそ3万人に1人です。生涯において発症する確率は約0.3%といわれています。
- HAMを発症するとどのような症状が認められますか
- HAMの症状には、足がつっぱり歩きにくい、力が入らないなどの運動障害、足がしびれるなどの感覚障害、頻尿や尿が出にくくて残尿感があるなどの膀胱機能障害や便秘などの排便障害、インポテンツなどの自律神経障害がありますが、それぞれの症状がどのように現れるかは個人差があります。運動障害はほぼすべてのHAM患者さんに認められますが、それ以外の症状は認められない場合もあります。また排尿障害で発症し、運動障害が数年後に発現する場合もあります。
またHAMは進行すると、HAMの症状が原因となって、転倒や骨折、床ずれ、低温やけど、膀胱炎などの尿路感染症、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)などを起こすことがありますので十分に注意しましょう。 - HAMはどのように診断されますか
- 両下肢の痙性麻痺(両足がつっぱって力が入りにくくなり思うように動かせない)、血清および髄液で抗HTLV-1抗体が陽性、ほかの脊髄疾患を除外できる、の3つをすべて満たす場合にHAMと診断されます。
両足の痙性麻痺の所見が認められた場合、まずHTLV-1に感染しているどうかを調べます。抗体検査によりHTLV-1感染が確定した場合、次に髄液に抗HTLV-1抗体があるかどうかを調べます。髄液とは、正確には脳脊髄液のことで、脳と脊髄という大切な神経を保護し、神経に必要な成分を補給する液体のことです。髄液の中でも抗HTLV-1抗体があることが確定し、脊髄MRI検査などで他の脊髄疾患ではないと判断できる場合に、HAMであると診断されます。 - HAMの運動障害とはどのようなものですか
- ほぼすべてのHAM患者さんに見られる症状で、歩行の違和感、足がつっぱる感じ、転びやすいなどの症状ではじまりますが、だんだんと筋力が低下することにより、階段の昇り降りが難しくなってきます。多くの場合、歩行障害はその後も徐々に進行し、杖や車椅子が必要となります。重症例では足が完全に麻痺し、体幹の筋力が低下することにより座ることもできず、寝たきりになってしまう場合もあります。
運動障害の評価には、「納の運動障害重症度」という指標が広く用いられています。HAMの運動障害の進み方には個人差がありますので、自分がどのような状態にあるかを納の運動障害重症度を使って月に1回、日を決めて確認し、記録しておくとよいでしょう。また、気になる症状があるときや、症状が急に悪くなったと感じた時などは、決まった日でなくても記録するようにしましょう。自分の状態をきちんと記録をしておくと、主治医の診察を受ける際にも役立ちます。自分の状態が納の運動障害重症度のどのスコアに該当するのかわからない場合は主治医に相談しましょう。
- HAMの感覚障害とはどのようなものですか
- 下半身の触った感覚が低下したり、しびれた感じがしたり、痛みを感じたりする症状で、HAM患者さんの6割程度でみられます。感覚障害は、膝から下の部分に強いことが多くありますが、中には胸やおなかのあたりから両足までと広い範囲に現れることもあります。特に痛みが強いと日常生活に支障が出てしまうこともあり、そのような場合にはお薬などで痛みをコントロールする必要があります。
- HAMの膀胱機能障害とはどのようなものですか
- HAM患者さんの9割以上に見られる症状で、膀胱に尿がたまりにくくなる「蓄尿障害」と、尿が出しにくくなる「排出障害」のどちらも現れるため、頻尿、切迫性尿失禁や排尿困難などが起こります。運動障害よりも先に、これらの膀胱機能障害があらわれるという人もいます。重症例では、自己導尿や尿道留置カテーテルの使用が必要になる場合もあります。
HAMの膀胱機能障害の評価には、HAM患者膀胱機能障害の重症度の分類(HAM-BDSG)と、膀胱機能障害の症状のスコア(HAM-BDSS)があります。これらの指標の内容を定期的に確認しておくとよいでしょう。
- HAMの排便障害とはどのようなものですか
- 便秘が高率にみられます。病状の進行に伴って治療に難渋する場合もありますが、便秘を放置するとさまざまな問題の原因となるので、主治医と相談して薬などで調整しましょう。また逆に、肛門括約筋が麻痺して、便を我慢できなくなることも多いです。外出する前の日には便秘薬を控えるなどの細やかな調整が必要になるので主治医とよく相談して調整しましょう。
- HAMの病気の成り立ちはどのようなものですか
- HTLV-1キャリアがHAMを発症する原因はまだはっきりとはわかっていませんが、普段は血液の中を循環しているHTLV-1感染細胞が、何かのきっかけで脊髄に入り込み、インターフェロンγなどの炎症を悪化させる物質である炎症性サイトカインを大量に作り出し炎症を引き起こすことが原因であると考えられています。脊髄では、HTLV-1感染細胞やそれを攻撃するために集まった免疫細胞が炎症性サイトカインを出し続けるため、慢性的に炎症が起こってしまい、結果として脊髄にある大切な神経細胞が傷つけられてしまいます。脊髄には両足、腰、膀胱、直腸などへとつながる神経が通っています。HAMの患者さんでは、これらの神経が傷つけられるため、運動障害、感覚障害、膀胱機能障害、排便障害(便秘)などの症状が現れるのです。
- HAMを発症するとどのような経過をたどりますか
- HAMの病気の進み方には、個人差が大きいという特徴があります。歩行障害でみると、HAM患者さんの約8割は発症後、ゆっくり症状が進行していきます(②緩徐進行例)。また、約2割弱は、発症後に比較的急速に症状が進行し2年以内に(時には数ヶ月で)自力で歩行ができなくなってしまいます(①急速進行例)。その一方で発症後、ほとんど症状が進行しない軽症な人もまれにいます(③進行停滞例)。
- HAMの病気の進み方の早さを決めるのはなんですか
- HAMの病気の進み方には個人差がありますが、これは脊髄での炎症の程度の差が強く影響しています。炎症が強ければ病気の進み方が早く、逆に炎症が弱ければ進み方が遅くなります。なぜ髄液での炎症の程度が人によって異なるのか、その理由はまだわかっていません。
- HAMの病気の進み方の早さを調べるにはどうしたらよいですか
- HAMの病気の進み方を決める脊髄の炎症の程度は、髄液中のネオプテリンやCXCL10を測定することで調べることができます。髄液中のネオプテリンやCXCL10の値に応じて疾患活動性が「高」「中」「低」にわけられますので、HAMの病気を進行させないために、それぞれの疾患活動性にあった治療を速やかに受けることがとても大切です。
今のところ、髄液ネオプテリン、CXCL10の検査は保険適用されていないため、どこの病院でも検査できるわけではありません。HAMねっとに参加している医療機関では、研究として髄液ネオプテリン、髄液CXCL10を測定することができますので、検査を希望する場合にはHAMねっとに参加している医療機関に問い合わせてください。
HAMねっとに参加している医療機関はこちら - HAMに合併する疾患にはどのようなものがありますか
- HAM患者さんは、HTLV-1感染によって起こる疾患であるHTLV-1ぶどう膜炎(HU/HAU)を合併することが多いです。また眼の乾燥や唾液が出にくくなるシェーグレン症候群や、筋炎、関節炎、細気管支炎などのHTLV-1との関連が示唆される炎症性疾患を合併することが一般の人に比べて多いことが知られています。関節リウマチなどの病気を合併し、免疫を調整する薬剤の投与が必要となった場合や、すでに投与を受けている場合は、主治医にHAMと診断された、あるいはすでに診断されていることをお伝えし、よく相談してください。
また最近の研究から、HAM患者さんが成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)を合併することが少なくないことが明らかになりました。何らかのきっかけでHTLV-1感染細胞のゲノム(DNA)に変異が蓄積し、感染細胞が自発的に増殖するような機能を獲得することがありますが、自発的に増殖するようになった細胞(クローナルな細胞といいます)は「がん化」しやすく、HTLV-1感染細胞ががん化した状態になるとATLを発症します。そのためHAM患者さんもATLを発症していないかどうかを確認するためにクローナルな細胞が増えてきていないかを定期的に検査することが大切です。
今のところ、クローナルな細胞がいるかはどこの病院でも検査できるわけではありません。HAMねっとに参加している医療機関では、研究として検査することができますので、検査を希望する場合にはHAMねっとに参加している医療機関に問い合わせてください。
HAMねっとに参加している医療機関はこちら - HAMの治療法にはどのようなものがありますか
- 今のところ残念ながら、HTLV-1感染細胞を除去する薬は開発されていないので、HAM患者さんの脊髄で起こっている炎症を抑える薬が治療の中心となります。他に、足のつっぱりを改善する治療、足のしびれや痛みを和らげる治療、膀胱機能障害に対する治療があります。またロボットスーツHALを含めた、運動機能を維持するための運動療法があります。
- HAMの治療のながれはどのようになりますか
- HAMであると診断された後、HAMの病気の進み方を決める脊髄の炎症の程度に応じて、炎症を抑える治療の強さを調節する必要がありますので、まず炎症の程度を調べるために髄液検査を行います。この検査結果により主治医より治療方針が説明されますので、よく話し合って治療方法を決定してください。その後、決定した治療が始まりますが、困ったことがある場合は医師や看護師に相談してください。
- HAMに対する主な治療法はどのようなものがありますか
- HAMの診療ガイドラインで推奨されている薬剤に副腎皮質ステロイドとインターフェロンαがあります。副腎皮質ステロイドは炎症を強く抑える効果を持っていて、「ステロイド内服療法」とよばれる内服による方法と、「ステロイドパルス療法」とよばれる点滴による方法とがあります。脊髄の炎症の強さ、つまり疾患活動性に応じて、これらのステロイド治療を組み合わせることで良好な効果が得られることが知られています。インターフェロンαは、連日もしくは週2~3日筋肉内注射する薬で、ウイルスや炎症を抑える働きがあります。今のところ、インターフェロンαを使用した後、長期間にわたって薬の効果を見た研究が少なく、長期の有効性がはっきりと示されているわけではありません。インターフェロンαは、白血球の減少、血小板の減少、抑うつなどの副作用が見られる場合もあります。
- 「疾患活動性:高(急速進行例)」に対する治療
髄液の炎症レベルが高く疾患活動性が高いと歩行障害が数か月単位、時には数週間単位で悪化します。 強い炎症を抑えるために、まずステロイドパルス療法を行い、その後、ステロイド内服療法を維持することが一般的です。治療によって改善が見込める時期をのがさずに、早く治療を開始することが大切です。 - 「疾患活動性:中(緩徐進行例)」に対する治療
歩行障害の進行がゆっくりなので、症状のみで進行の程度を見極めることが困難です。そのため、いまどの程度の炎症のレベルなのかを知ることが重要で、髄液検査が有用です。治療を開始する前に髄液中のネオプテリン、CXCL10の値を検査し、炎症の程度に応じてステロイド内服療法を行うことが有効です。ステロイド内服療法を継続することでHAMの運動障害の進行を抑えることができますが、骨粗鬆症などの副作用の問題がありますので、髄液検査により炎症が抑えられていることを確認しながら、できるだけステロイドの内服量を減量できるようにします。またステロイドの有用性が認められない場合や、緑内障などのステロイド治療を使用できない合併症を有する場合、インターフェロンαの治療を検討します。 - 「疾患活動性:低(進行停滞例)」に対する治療
発症後長期にわたり症状が進行せず、炎症の程度も弱い場合は、ステロイドやインターフェロンαなどの副作用を伴う治療の有用性は低いと考えられています。
- 「疾患活動性:高(急速進行例)」に対する治療
- HAMの足のつっぱりに対する治療法はどのようなものがありますか
- 足のつっぱりに対しては、エペリゾン塩酸塩、バクロフェン、チザニジン、ダントロレンなどの内服薬が使われます。特につっぱりが強く日常生活に支障を来すような人には、A型ボツリヌス毒素(商品名:ボトックス®やゼオマイン®)の筋肉内注射が有効な場合があります。これら内服薬やA型ボツリヌス毒素(商品名:ボトックス®やゼオマイン®)は保険適用されています。その他、バクロフェンを持続的に脊髄に直接効かせるためのポンプを埋めこむ手術(ITB)もあり、これは必要に応じてつっぱりに対する薬の効き目を調整できます。
- HAMの膀胱機能障害に対する治療法はどのようなものがありますか
- HAMの膀胱機能障害は個人差があるうえ、経過とともに症状が変化するので、脳神経内科の医師だけでなく泌尿器科の医師とも相談しながら治療を進めるとよいでしょう。主な治療法に薬物療法と自己導尿があります。
自己導尿は、薬物療法等を行っても残尿が多い場合に適応されます。膀胱容量や尿意の感覚にもよりますが、1日3~5回程度から開始することが一般的です。夜寝る前に1日1回から開始する場合もあります。 - HAMに有効な運動療法はどのようなものがありますか
- HAM患者の運動障害は多くの患者で進行していきます。また、ステロイド内服療法などで脊髄での炎症を抑えたとしても、痙性麻痺(両足がつっぱって思うように動かせない)が完全になくなるわけではありませんので、正しい歩行運動ができなくなり、それが原因でさらに歩きにくくなる、歩きにくいので歩かないという悪循環を繰り返し、運動量が低下していってしまいます。理学療法士などの指導により、正しい歩行運動を繰り返し練習する運動療法は、運動機能を維持するために必要です。
また日常的に自分で行えるトレーニングやストレッチも有効です。それぞれの運動障害の程度にあったトレーニングを取り入れ、できるだけ運動機能を保つよう心掛けましょう。
- 納の運動障害重症度0~4(平地では杖がなくても自立できる)場合
ふくらはぎや太ももの裏側の筋肉のストレッチ、おしりや太もも、ふくらはぎの筋力トレーニング、歩行運動が有効です。ストレッチはゆっくりと伸ばすことを心掛け、痛みが強くでない範囲で10~30秒止めます。これを一日3セット繰り返すとよいでしょう。
筋力トレーニングは軽度のスクワット(膝を60度ぐらいの角度で曲げ伸ばしする)や、つま先立ちをして5秒止める運動を一日あたり20回程度行うとよいでしょう。筋力トレーニングを行う場合は、壁や手すりなども利用して転倒には十分に注意してください。
歩行運動は歩数計やスマートフォンなどを活用して一日あたり6,000歩を目標にして歩いてみましょう。慣れてきたら1週間ごとに500歩程度目標を増やしてもよいかもしれません。歩行運動の際も転倒には十分に注意してください。歩行が不安定な場合は、杖などの歩行補助具を使用してください。 - 納の運動障害重症度5~8(両手の支えがあれば立っていることができる)場合
1) 納の運動障害重症度0~4の場合と同じ内容を行うことが有効ですが、必ず両手で支えた状態でトレーニングを実施してください。転倒には十分に注意してください。 - 納の運動障害重症度9~11(自力で座っていることができる)場合
背もたれとひじ掛けのついた椅子に座って、膝の曲げ伸ばしの運動を繰り返すとよいでしょう。また、椅子のひじ掛けにつかまって立ち上がる練習をしましょう。 - 納の運動障害重症度12~13(自力では寝返りができない)場合
自分では運動を行うことができないので、他の人にストレッチやマッサージをしてもらうとよいでしょう。足首から先の曲げ伸ばし、膝を伸ばした状態で片足を上げたり下げたりする、股関節を開くように片足を横にしたり戻したりするなどのストレッチが有効ですが、無理な動きをさせすぎないように十分に注意しましょう。
- 納の運動障害重症度0~4(平地では杖がなくても自立できる)場合
- インターフェロンとはなんですか
- インターフェロンという言葉は、interfere:妨害する、相互干渉するという英語から作られました。ウイルスが侵入している細胞に、別のウイルスが侵入すると、お互いのウイルスの増殖を抑える物質が作られる現象がみられ、この物質がインターフェロンと名づけられました。
インターフェロンにはウイルスの増殖を抑える作用、細胞の増殖を抑える作用、免疫を調節する作用があります。
インターフェロンにはいくつか種類があり、HAMに対してはαインターフェロンが用いられています。副作用として発熱、脱毛、白血球減少、抑うつなどがあります。 - ステロイドとはなんですか
- 人間の副腎から合成分泌される重要なホルモンです。通常は人で一日に20mg(プレドニゾロン換算で3~5mg)ほど自分の体内で産生しています。ステロイドは、ストレス排除作用や抗炎症作用、電解質の維持作用、血圧維持など大切な作用をもっています。HAMでは初期治療や維持療法に用いられますが、副作用として骨粗鬆症、糖尿病、高血圧、肥満、にきびなどが見られ、それぞれの副作用の対策をきちんととりながら治療を行う必要があります。
- 装着型サイボーグHAL®とはなんですか
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人が身体を動かすとき、脳から筋肉へと神経を通して様々な信号が送られていますが、その信号は微弱な生体電位信号として皮膚表面に漏れ出てきます。HALはその生体電位信号を皮膚に貼ったセンサーでキャッチし、装着した人が意図する動作ができるよう補助する医療機器です。人の動きをサポートする高度な技術とその形より「装着型サイボーグ」とも呼ばれていますが、HALを使用してリハビリを繰り返すことにより、脳神経系と筋肉とのつながりが強化・調整され、身体機能の改善・再生が促進されます。
HAL®医療用下肢タイプ(以下、「医療用HAL®」)は、下肢に障がいがある方々を対象にした医療機器で、進行性の神経筋難病疾患や脊髄損傷、脳卒中などの患者さんを対象として、現在世界19カ国で活躍しています。
2023年10月、医療用HAL®を用いたリハビリテーションがHAMに保険適用となりました。
医療用HAL®に関する詳しい情報はこちら
- HAMの治療にはどのぐらいの費用がかかりますか
- 受ける治療によって費用は様々なので早めに担当医に相談しましょう。
治療には健康保険が適用されます。病院で支払う1か月の自己負担額が一定の限度額を超えた場合、超過した自己負担額を支給する高額療養費制度がありますので、詳しくは加入している健康保険の窓口に問い合わせてください。また、1年間の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、確定申告することにより所得税が減税される税金の医療費控除もありますので、こちらは税務署に問い合わせてください。
また、HAM患者さんは症状の程度により特定医療費(指定難病)助成制度や身体障害者福祉制度、重度心身障害者医療費助成制度、障害年金、介護保険(65歳以上)など公的支援が受けられる場合があります。お住まいの自治体により申請に必要な手続き方法やサービス内容が異なりますので、それぞれの相談窓口に問い合わせてください。 - HAMとうまくつきあうために、どのようなことに気をつけるとよいですか
- あなたの病気の状態にあった治療を行うことのほか、運動療法を積極的に行って筋力維持に努めることが大切です。運動療法の内容については、リハビリテーションの先生とよく相談し、あなたの状態に適した運動療法を指導してもらいましょう。
また、歩行や立ち上がり時の転倒は、大腿骨頸部の骨折などで寝たきりになるきっかけとなってしまいますので、十分な注意が必要です。さらには膀胱炎の繰り返しや床ずれ、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)などにも注意が必要です。 - HAMを発症した場合、家族のHTLV-1感染を調べたほうがよいでしょうか
- あなたがHAMを発症した場合、ご家族の中にもHTLV-1キャリアがいる可能性があります。ご家族がHTLV-1に感染しているかどうかを知りたいと希望している場合には、調べたほうがよいでしょう。しかしながら、ご家族が希望していない場合には、ご家族が感染を調べて陽性となった場合のことを考える必要があります。判断に迷う場合は、HTLV-1に詳しい医師に相談してみるのもよいかもしれません。
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