HAMねっとは、
患者さん、医療従事者、研究者がともに協力しながら
HAMの治療法の開発を目指していくためのサイトです
みなさまの協力でよりよい治療に
HAMねっとは、
患者さん、医療従事者、研究者がともに協力しながら
HAMの治療法の開発を目指していくためのサイトです
みなさまの協力でよりよい治療に
HAMについて
HAMに関する情報をまとめました。
HTLV-1に関する情報やHAMの基本的な内容は、HTLV-1情報ポータルサイトの「HTLV-1基礎知識Q&A」にも掲載していますので、あわせてご確認ください。
HAMに対するリハビリテーション治療について(動画)
HAMに対するリハビリテーション治療について、聖マリアンナ医科大学 リハビリテーション医学講座 主任教授 佐々木信幸先生に解説していただきました。
HAMに関するよくあるご質問
- どのようにHAMと診断されますか
- HAMの診断アルゴリズムにしたがって診断されます。
- HAMの診断や評価に重要な検査を教えてください
-
HAMの診断や評価に重要な検査とその内容を表にまとめました。
HAMの診断や評価に重要な検査 検査 検査項目 内容 血液検査 抗HTLV-1抗体 HTLV-1に感染しているかどうかを調べる際に検査します。 可溶性IL-2受容体 血液中の炎症やHTLV-1感染T細胞の増殖の程度を反映します。
特にATLで高くなります。HTLV-1プロウイルス量 血液中のHTLV-1の量を測定します。 髄液検査 抗HTLV-1抗体価 HAMの診断に用いられます。 細胞数 髄液での炎症の程度の評価に用いられます。HAMでの炎症を反映する感度が低く、HAMでは正常となることが多くあります。 IgG ネオプテリン 髄液での炎症の程度の評価に用いられます。HAMでの炎症を反映する感度が高く、疾患活動性の評価に優れています。 CXCL10 画像検査 MRI 脊髄や脳を撮影し、HAM以外の病気の有無を確認します。
HAMでは、脊髄や脳の状態を確認する目的に用いられます。 - HAMの検査を受けたいのですが
- 現時点では、血液HTLV-1プロウイルス量、髄液ネオプテリン、髄液CXCL10の検査は保険適用されていないため、どこの病院でも検査を受けられるわけではありません。
HAMねっとでは、研究目的の検査を行っていますので、これらの検査を希望する場合には、HAMねっとに参加している医療機関に問い合わせてみてください。
- 診察の際に主治医に伝えたほうがよいことはありますか
- HAMの膀胱機能障害とはどのような症状でしょうか
- 膀胱機能障害はHAM患者さんの9割以上にみられます。HAM患者さんでは、膀胱に尿がたまりにくくなる「蓄尿障害」と、尿が出しにくくなる「排出障害」のどちらも現れるので、頻尿や切迫性尿失禁などの症状が出ます。運動障害よりも先に、これらの膀胱機能障害があらわれるという人もいます。重症例では、自己導尿や尿道留置カテーテルの使用が必要になる場合もあります。
- HAMの膀胱機能障害に対する治療法はありますか
- HAMの膀胱機能障害は個人差があるうえ、経過とともに症状が変化するので、脳神経内科の医師だけでなく泌尿器科の医師とも相談しながら治療を進めるとよいでしょう。主な治療法に薬物療法と自己導尿があります。
薬物療法で、それぞれの症状に使用される内服薬を表にまとめました。自己導尿は、薬物療法等を行っても残尿が多い場合に適応されます。膀胱容量や尿意の感覚にもよりますが、1日3~5回程度から開始することが一般的です。HAMの膀胱機能障害に使用される内服薬 症状 薬剤の分類 一般名 商品名 蓄尿障害 抗コリン薬 ソリフェナシン ベシケア® フェソテロジン トビエース® イミダフェナシン ステーブラ®
ウリトス®プロピベリン バップフォー® オキシブチニン ポラキス®
ネオキシテープ®β3受容体刺激薬 ミラベグロン ベタニス® ビベグロン ベオーバ® 漢方薬 八味地黄丸 牛車腎気丸 排出障害 α1受容体遮断薬 タムスロシン ハルナール® ナフトピジル フリバス® シロドシン ユリーフ® ウラピジル エブランチル® コリン作動薬 臭化ジスチグミン ウブレチド® - HAMに合併する疾患はありますか
HAM患者さんは、HTLV-1感染によって起こる疾患であるHU/HAUの合併がよく見られます。
・目の前に虫やゴミが飛んでいるように見える(飛蚊症)
・かすんで見える(霧視)
・目の充血
・視力の低下などの症状がある場合は、すみやかに眼科を受診してください。受診する場合にはHAMと診断されていることを伝えてください。 そのほか、シェーグレン症候群、筋炎、関節炎、細気管支炎などのHTLV-1との関連が示唆される炎症性疾患を合併することが一般の人に比べて多いことが知られています。関節リウマチなどの病気を合併し、免疫を調整する薬剤の投与が必要となった場合や、すでに投与を受けている場合は、主治医にHAMと診断された、あるいはすでに診断されていることを伝え、よく相談してください。
- 自宅でも行えるトレーニング方法を教えてください
- 納の運動障害重症度0~4(平地では杖がなくても自立できる)場合
ふくらはぎや太ももの裏側の筋肉のストレッチ、おしりや太もも、ふくらはぎの筋力トレーニング、歩行運動が有効です。
ストレッチはゆっくりと伸ばすことを心掛け、痛みが強くでない範囲で10~30秒止めます。これを一日3セット繰り返すとよいでしょう。
筋力トレーニングは軽度のスクワット(膝を60度ぐらいの角度で曲げ伸ばしする)や、つま先立ちをして5秒止める運動を一日あたり20回程度行うとよいでしょう。筋力トレーニングを行う場合は、壁や手すりなども利用して転倒には十分に注意してください。
歩行運動は歩数計やスマートフォンなどを活用して一日あたり6,000歩を目標にして歩いてみましょう。慣れてきたら1週間ごとに500歩程度目標を増やしてもよいかもしれません。歩行運動の際も転倒には十分に注意してください。歩行が不安定な場合は、杖などの歩行補助具を使用してください。 - 納の運動障害重症度5~8(両手の支えがあれば立っていることができる)場合
1) 納の運動障害重症度0~4の場合と同じ内容を行うことが有効ですが、必ず両手で支えた状態でトレーニングを実施してください。転倒には十分に注意してください。 - 納の運動障害重症度9~11(自力で座っていることができる)場合
背もたれとひじ掛けのついた椅子に座って、膝の曲げ伸ばしの運動を繰り返すとよいでしょう。また、椅子のひじ掛けにつかまって立ち上がる練習をしましょう。 - 納の運動障害重症度12~13(自力では寝返りができない)場合
自分では運動を行うことができないので、他の人にストレッチやマッサージをしてもらうとよいでしょう。足首から先の曲げ伸ばし、膝を伸ばした状態で片足を上げたり下げたりする、股関節を開くように片足を横にしたり戻したりするなどのストレッチが有効ですが、無理な動きをさせすぎないように十分に注意しましょう。
- 納の運動障害重症度0~4(平地では杖がなくても自立できる)場合
- HAM患者さんが受けられる公的支援はありますか
- 2021年12月時点でHAM患者さんが受けられる公的支援を表にまとめました。公的支援の多くは、患者さんご自身で申請する必要があります。また、お住まいの自治体により申請に必要な手続き方法やサービス内容が異なりますので、それぞれの相談窓口に問い合わせてください。
HAM患者さんが受けられる公的支援 公的支援 内容 相談窓口 特定医療費
(指定難病)
助成制度申請し、認定されると受給者証が交付されます。受給者証があると、医療費の負担額が自己負担限度額を超えた場合、超過した自己負担額が支給されます。
現在の制度では、軽症の方は申請できません。申請できる目安は、運動機能障害重症度が5(片手による伝い歩き)以上の方です。
なお、申請には指定難病医に臨床調査個人票を作成してもらう必要があります。市区町村の担当窓口 身体障害者
福祉制度身体障害者手帳の交付を申請し、交付されると障害の程度(等級)に応じて各種福祉サービスや税の控除を受けることができます。 重度心身障害者医療費助成制度 自治体により重度医療、福祉医療など名称は異なりますが、身体障害者手帳1~3級の交付を受けている人などが、医療機関に通院・入院した際にかかる費用の一部もしくは全額が補助される場合があります。対象者や補助額は自治体により異なります。 介護保険 65歳以上で介護を必要とする人が、介護サービスを受けられるようにサポートする制度です。介護保険を申請し、認定されると1割から3割の自己負担で介護度に応じた介護サービスを受けることができます。自己負担額は前年度の所得により変わります。なお、65歳以下でも制度を利用できる特定疾病がありますが、HAMはこの特定疾病には含まれていません。 税金の医療費控除 1年間の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、確定申告することにより所得税が減税されます。身体障害者の認定を受けている場合は、障害者控除が受けられます。 税務署 障害年金 年金に加入している方で、障害によって労働が不可能となり日常生活に支障をきたす場合、年金を受けることができる場合があります。 加入している年金の窓口 高額療養費制度 病院で支払う1か月の自己負担額が一定の限度額を超えた場合、超過した自己負担額を支給する制度です。 加入している健康保険の窓口 高額医療費貸付制度 高額な医療費の支払いが必要である場合、高額医療費が支給されるまでの間、無利子で当座の資金を借りることができます。 - 治療と仕事の両立はできますか
- 治療技術の進歩に伴い、難病を抱えていても症状をコントロールしながら仕事を続ける患者さんも多くなりました。また、難病患者さんが仕事する場合、事業主は障害者雇用促進法に基づいて、本人の希望や難病の症状の特性等をふまえた配慮をする必要があります。
まずは主治医や産業医に、自分がどのような仕事をしているのか業務内容を伝え、どのような業務であれば続けることが可能かをよく相談し、働き続けるうえで望ましい配慮を記載した意見書を作成してもらいましょう。その意見書を勤務先の相談窓口に提出し、主治医や産業医の意見、そして最も大切な自分の意見を勤務先に伝え、今後の仕事の方針を決めていきましょう。
日常の診療では、医師に仕事のことまで相談しにくいと思うこともあるでしょう。病院によっては治療と仕事の両立について相談する専門窓口がある場合や、専門のソーシャルワーカーが勤務している場合もあります。治療と仕事の両立を考えている場合には、病院に勤務しているスタッフに声をかけてみてください。 - 災害に備えるにはどうしたらよいですか
わが国は、地形、地質、気象などの自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火などのさまざまな災害が発生しやすい国土です。災害が発生した際に、いかに少ない被害にとどめるかは、平時からの備えと、災害発生時の適切な判断、適切な行動が重要です。災害発生時に、周りの人がHAM患者さんをサポートするのはもちろんですが、いつもそのような状況にあるとは限りません。そのため、HAM患者さん自身が災害に対して備えることも大切です。
【室内の備え】
避難経路を確保するために家の中を見て、危ない場所がないか確認しましょう。
✓なるべく部屋に物を置かない
✓家具の転倒・落下・移動を防ぐ対策をする
✓出火・延焼を防ぐ対策をする【物の備え】
✓飲水や食料などの物資
✓1週間分の薬
ステロイド内服療法をしている患者さんが、突然服用をやめることはとても危険です。少なくとも1週間分の薬をすぐに持ち出せるよう準備しておきましょう。食料と同じように使用したぶんだけ補充するというローリングストックが有効です。
✓おくすり手帳のコピー
非常時には、処方箋がなくてもおくすり手帳の提示で薬を提供してもらえる可能性が高いので、非常持ち出し品に入れてきましょう。
✓導尿器具
自己導尿をしているHAM患者さんは、少なくとも(1日に導尿をする回数)×3日分の導尿器具を常備しておきましょう。【日頃の準備】
お住まいの地域がどのような危険がある地域なのか、市区町村から配布されるハザードマップで居住地域の危険性をあらかじめ把握しておきましょう。そのうえで、地域の一時避難場所、避難場所などへの避難ルートを平時より確認し、可能であれば実際に避難ルートを通る練習をしておいてください。避難情報で「警戒レベル3 高齢者等避難」が発令された場合は、躊躇せず、あらかじめ確認しておいた避難ルートですみやかに避難を開始してください。HAM患者さんは深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)になりやすいので、災害時に車中泊をすることはよくありません。災害が発生した際に、少ない被害にとどめられるよう日頃から備えるようにしましょう。